■始まり■

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僕は、気が付いたら死んでいた。 見知らぬ車のトランクの中で、僕は息絶えていた。 死んで動かなくなってしまった身体を、只、静かに見つめる僕。 どうやらもう、自分の身体に戻る事は出来無いらしい。 そうして、死んで魂となった僕は、死ぬ数時間前の事を思い出す。 18歳の僕は、死ぬ3時間前に恋人と会っていた。 恋人の名前は……ハルリナ=カエデ。 とても可愛くて、明るく元気な彼女と僕はデートしていた。 食事はいつものファミレス。 二人共お決まりのハンバーグエビフライセット。 一緒に仲良く向き合って楽しく会話しながら食事する彼女と僕。 カエデは、今日会社であった出来事を僕に話して笑っている。 『それでね! ルイス! そいつったら、ゴキブリの死骸が、自分の椅子の上にイタズラされて置かれている事も気付かないで……そのまま座ってさ! プチッてお尻で潰しちゃったんだよ! 想像してみてよ! 超ウケるって! お尻と椅子でサンドイッチ状態のゴキブリの死骸! もうみんなから嫌われ者のソイツにはピッタリのお尻に、ゴキちゃんコンニチワ! 状態だったのよ! 立ち上がって、お尻に手を当てた時のアイツの何だこりゃ顔を、もしルイスも見てたら、思わず爆笑してたかもね! もう、ホントっ! 傑作だったんだから……』
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