■始まり■

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それらを大きく4っつに分けて、今、こうして、魂となって存在している自分は、ハッキリと自覚して確認し終えたのだった。 身体という器の無い自分。 命という温かな血液も、もう流れない魂だけとなってしまった自分。 『正直、僕は、この世でやり遺した事は一杯あったし、まだまだこれから先、逢うべき人達も居ただろうし、何よりも、彼女のカエデとの将来の事も考えていたから……。 突然、訳も分からず、おめでとう等という言葉の直後、心臓一突きで死ぬ事になるなんて嫌だった……』 そう、魂だけとなってしまった自分が、そんな風に想った時、誰かが、そんな僕の魂に触れ、話し掛けて来る。 『……仕方の……無い事だった……んだ。 あの女……ハルリナ=カエデに不幸なる……要因の出来事を与え……人生に対しての……生きる幸福への試練を受けて貰うにはな……。 彼女の彼氏である、大切な恋人のイザベラ=ルイス……お前の死こそが絶対必要不可欠だった……のだ……。 全ては偉大なる壮大なる計画の名の許としてもだがな……』 そう言って、多分、男と思える僕の魂に話し掛けて来た声は、一旦、この場から引き揚げるかの様に―― 『この件に関しての……私の仕事は、終わった……』と、ポツリと最後に、そう告げた。
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