プロローグ

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プロローグ

曇り空 黒雲が集い始め、回りには人も何も無い草原 そんな草原に一人の小さな少女がいた 「ママァー!」 「パパァーッ!!」 少女は目元にたくさんの涙を浮かべ 何故だか頭に浮かび上がってくる言葉を必死で叫んだ 叫んだところで返ってくるはずのない声 少女は訳が分からなくなりその場に倒れ込んだ その瞬間、大粒の雨が振り出し 少女は、身体中を雨に打たれながら 意識が遠くなるのを感じ、ゆっくりと目を閉じ 自分の運命を悟った… しばらくすると 顔に雨が当たらなくなった 少女は虚ろな瞳で目を開け 赤い傘をさして少女を見下ろす一人の女がいた 女は少女を見て何かを確信し 「おいで」 笑みを浮かべ そっと手を差し伸べる 少女は衰弱しているものの必死に女の差し出した手を掴んだ 「もう大丈夫… ママもパパもいないけど貴女はアスモデウスって名があって アスモにはちゃんと私達お姉さんがいるから」 アスモデウスと呼ばれた少女は女の言葉を聞くと薄い笑みを浮かべ 「名……前…」 精一杯それだけ聞くと そのまま眠ってしまった 「私の名前はルシファー お休みなさい、可愛い妹」 ルシファーと名乗る女は淡く微笑みながら アスモデウスを抱き上げ そのまま草原を去ったのだった…
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