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「うわっ……まだ、脚が震えてる…」
未だ恐怖が抜けないのか、脚が小刻みに震えている。
そんな俺は今、蓮姉さんに言われた通りに第一体育館へと向かっている。
今丁度、第一体育館に続く廊下を歩いているのだ。
『――5分で来るように』と、蓮姉さんの言葉が頭に響いているのだが、その刻限から既に30分が経っていた。
(完全に遅刻だなぁ…)
今の時刻は10時半。
入学式開始の時刻は10時。
つまりは、もう始まっていた。
普通だったら、自分に辱めが込み上げるが、俺の場合はそんなのは関係は無い。
寧ろ、遅れてラッキーって言いたい程だ。
何せ終わる時間が早くなったからな。
(とは言え……、蓮姉さんが恐いぜ)
俺と言う名の遅刻者が、蓮姉さんに見付かればどんな仕打ちを受けるか……、考えただけでまた恐ろしや。
――と、そんな事を言っている中に第一体育館の出入り口前へと来てしまった。
目の前にあるのは、綺麗に磨かれた木製スライド式の大口ドアが現れていた。
(ここが地獄のドアと成るのか)
俺は恐る恐るドアの取っ手に手を掛け、誰にも気付かれないように、ゆっくりゆっくりと音を出さずにスライド式ドアを開ける。
如月武術探偵学院の第一体育館は広く、小学校や中学校の体育館とは違い、5人は座れる程の洋式風の長椅子があり、そこに新入生達が所狭しと座っていた。
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