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その人物は金色に近い茶髪で、後ろ髪を肩胛骨まで伸ばし、また耳を覆い被さるまで髪を伸ばしていた。
そして、ピョンと前頭部の一部の髪を跳ねさせており、その先が後ろにいる俺にも見えるのだった。
髪型から後ろ姿からして女性――学生なので、女の子である。
俺はその女子生徒の肩に手を置いた。
彼女は、ビクッと体を飛び上がらせて素早く顔を振り向かせた。
綺麗な透き通る蒼い瞳――凛々しい顔立ち。
ムッと不機嫌そうな顔で振り向いたのだった。
「何か用?一葉」
明らかに不機嫌だった。
「よっ、イリア」
彼女の名はイリア・メディアン。
3歳の時に日本へ来たのだが、ある理由で彼女もまた俺と同じように蓮姉さんに育てられていた。
簡単纏めるのであらば、俺と彼女は幼なじみなのだ。
「久しぶりだな。こうして会うのも」
「ふん。私はアンタに会うのは望んで無いわよ」
再び顔を戻し、そっぽを向くイリア。
「冷てえな…。久しぶりに会ったから少しは喜んだ顔をしても良いのに」
「う、五月蝿いわね……。殴るわよ」
一瞬言葉を濁らせ、それでも厳しい事を言った彼女。
――一体何で言葉を濁らせたんだ?
彼女の一瞬の言葉の濁りに疑問を持った自分であった。
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