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「ま、3ヶ月も会っては無かったけど、変わんねーよなその性格だけは」
「………」
イリアは言葉を返さなくても、小さく唸りを上げた。
どうやら、不機嫌なのは確かだ。
“3ヶ月も会ってない”と言うのは、彼女が生まれた地イギリスでバカンスを楽しんでいたのであるからだ。
「んで、久しぶりのイギリスでのバカンスはどうだったんだ?」
「別に。どーせ、アンタに言っても興味無く聞くクセに」
「お、せーかい。良く分かったな」
「何年もアンタと居たら、嫌でも分かるわよ」
「まぁ、そうだな」
ニヤニヤと笑いながら、俺は背もたれに背を預け、脚を組んだ。
流石は幼なじみと言うところかな――相手の事を良く理解する。
(かと言って……俺は全然、イリアの事分かってないんだよな)
「アンタの事、好きだから…理解出来るんだから……」
ボソッとイリアから声が聞こえた。
「ん、何か言ったか?」
「いっ、言ってないわよ」
「あぁ、じゃあ気のせいか…」
(何て言ったんだ?気になるなぁ……)
『好き』っては聞こえたが、何が好き何だ?
あぁ、パスタかな。
イリア、パスタ好きだからなぁ。
(後で奢ってやろっと)
『次は如月武術探偵学院25代学院長、八色学院長からのお話です』
広い第一体育館に、進行役の教員がマイクを伝って声を響かせた。
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