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入学式も終わり、俺は寮に向かう事無く、蓮姉さんの命令に従い学院長室に向かっている。
この学院の敷地内には寮が勿論在る。
寮は男子寮と女子寮に分かれて、その双方に異性は建物内なら良いが、部屋まで入ることは――これだけは何故か――許されてはいない。
また寮についての話は、また後にしよう。
「…っと、ここだな」
只今、本館1階。
第一体育館があった階は2階。
他の階には教室が存在する。
さて、俺の目の前にはご立派な松の木で造られた扉がある。
余談だが、後ろには中庭を見渡せる程の窓がずらりと廊下に貼られているのだった。
「蓮姉さん、ちゃんと命令通り来たぜ」
ノックをしながらそう言った。
「あぁ、入りな」
「ん…」
中から蓮姉さんの声がしたのを確認出来た俺は、ドアノブに手を掛け開けて、学院長室の中へと入った。
学院長室の中は、赤いカーペットで床一面に敷かれ、左右には高価そうな食器類やら本やファイルなどが入った棚が置かれ、また更には壁に銃器が掛けられている――オートマチック・マグナム・ライフル銃や狙撃銃……見るからに殆どが観賞用かトイガンだった。
奥にはこれまたご立派な木製のデスクに高級感漂う革の回転式チェアー。そのチェアーに座り、デスクに肘を付けて手を合わせながら、顔を微笑ませつつ、ジッと俺を見ている人物が居た。
――学院長である蓮姉さんだ。
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