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「約束通り来たな」
「あぁ、当たり前だろ。破ったら何されるか分かったもんじゃないからな。ここは言う事聴かなくちゃ命に関わる事だし」
蓮姉さんの顔を見返しながら、苦笑いで愚痴のようにそう言った。
それが可笑しかったのか、蓮姉さんはプッと息を一気に吹いて笑い出した。
「あははっ♪それじゃあ、日頃の愛の鞭が効いたみたいだなぁ」
「まぁ、そんなところ」
何だか蓮姉さんの(本当の)笑顔を見ると、こっちも笑顔になる。
そして、学院長室に蓮姉さんと俺の笑い声が響く。
暫くして落ち着きを取り戻した俺は話を切り出した。
「で、何で俺を呼び出したんだ?入学式に遅れた仕置きでもするためか?」
「ん?あぁ、それも考えてたが――それとは別にお前に話しておきたい事があってな」
「話しておきたい事…?」
何だか……嫌な予感がするのは何故。
気のせいかな……。
「あぁ、話と言うのは今日から1ヶ月後に行われる『知的能力診断テスト』――簡単に言えば『新入生テスト』があるのは知っているよな?」
「げっ………」
嫌な予感的中。
“テスト”――俺が『嫌いな言葉ワースト5』に入る言葉。
聴くだけで気が滅入るよ……。
「ふっ、そう言えば嫌いな言葉なんだっけな。…テスト」
「うぐっ……!」
さっきの笑顔とは裏腹に、悪者の顔をしてその言葉を口にしてくる蓮姉さん。
やっぱサタンだよ……あの人。
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