Mission1 ~入学式なんてクソ喰らえ~

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今季は春。 まだ冬の寒さが残っているのか、冷たい風が俺の体温を下がらせる。 「さっみぃ~……」 誰も居ない屋上で、この言葉が妙に――気味悪く響く。 他人から見れば、虚しい光景だが、俺からして見れば幸せな一時だ。 ……と、言うより疑問に思った方もいるだろう。 何故、俺は如月武術探偵学院本館の屋上に居るのか。 別に俺がこの学院の教員でも用務員でも無い。 つまりは俺はこの如月武術探偵学院の生徒って事だ――これからだけどな……。 「はぁ~……嫌だなぁ……」 軽く溜め息混じりで言う。 微かに白い息が、風に流されてしまう。 俺も風に流されたい……。 そう思うと、また溜め息が出てしまう。 「何朝っぱらから、一人黄昏ているだ?」 「あっ……」 急に、クールな口調な女性の声が聴こえ、俺はその方向に顔を向かせた。 屋上から突き出た真四角な壁にある扉の近くに黒いスーツ姿が似合う女性が腕を組んで立っていた。 スーツからは真っ白なシャツの襟が出て、袖や裾からも同じように出ている。 如何にも、何処かの会社に居そうな女社員か秘書だ。 「別に…黄昏て何かいねーよ」 俺は少しだけその女性を見て、また青い空を見上げつつそんな言葉を口にした。 コツコツと、屋上の床を彼女が履いているブーツの足音を響かせながら、女性は徐々に俺の方へと近付いてくるのが分かる。 そして、女性は俺の隣で立ち止まり、俺と同じように空を見上げた。
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