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「『何の用』?出来損ないの義弟(オトウト)を迎えに来ただけだ」
「『迎え』に……?」
(つーか、毒舌吐かれた…)
この程度などはまだ軽い方。
まだこの上ものが彼女の中には存在する。
「そうだ。ほら見てみろ。お前と同じく、此処に入学してくる生徒さん達が来たぞ~…フフフッ」
蓮姉さんは体を反転させ、柵に腕を乗せて本館から2キロ程先にある校門に見据える。
――のだが、表情が悪そうな顔をしている。
(また良からぬ事を考えてやがるよ……この人)
本当……恐いよ。
あぁ今、蓮姉さんの恐い記憶が甦ってきた………。
頭を横に振って、この恐怖の記憶達を取り払って、俺もまた校門の方を見据えた。
その校門からゾロゾロと、ワインレッドの制服を着て、中には蓮姉さんと同じようにYシャツを着た如月武術探偵学院新入生が本館の玄関を目指して歩いてくるのが見て分かる。
そう、今日は如月武術探偵学院の入学式。
その事を祝ってか、道に沿って植えられた桜並木が咲き乱れ、桜吹雪が新入生に舞い落ちていく。
一応、俺も新入生であり、彼ら達と同じように制服を着ている。
正直言って、息苦しい。
それに加え、憂鬱な気分も込み上げてきた。
何故かって?。
答えは簡単、こういう行事は嫌いなのよ。
何十分もの校長の話とか、教頭の話を聴かされて、名前呼ばれたら返事して何が面白いんだか……眠くなるちゅうの。
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