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 「まさか、お前。俺が落ちてたと思ってたのか!?」  「えーー、それとも違くて」  「はぁ……じゃあ俺だけが楽しみだったの?」  いつかの時みたいに、寂しそうに瞳を揺らしたお兄さん。  やだっ。  お兄さんのこんな顔、見たかったわけじゃない―――  「私だって! 私だってめっちゃ楽しみでした!! この日の為だけに、嫌ってほど勉強したのに!!」  吐き捨てるようにそう言うと  「知ってる」  ニヤッと嬉しそうな顔をしたお兄さん。  カタンと音を立てて、近くの机に浅く腰かけると―――  「おいで」  って両手を広げられた。
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