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ごめんって前置きして、最後に悪いって締めくくってあるあたりが妙に嬉しくて私も何か返事したいと思った。
でも渡された付箋にはもう隙間がない。
その付箋はなんだかくしゃくしゃにはしたくなくて、半分に折りたたんで筆箱に入れる。
そして筆箱に常備している私のお気に入りのメモを1枚取って
『いえ、こちらこそごめんなさい。こないだも……』
と書いてそっと右へスライドさせる。
まさか返ってくると思っていなかったのか、お兄さんはビックリした表情を浮かべたけれど、メモを読み終えて私を見るとニコッと笑ってくれた。
その笑顔に私もニコッと笑って返事をする。
見ると私のメモを半分に折って、私と同じように筆箱にしまっていた。
もしかしたら、ううん、絶対に後で捨てると思う。
それでもその瞬間に、くしゃって潰すんじゃなくて丁寧に半分に折って筆箱にしまってくれた心遣いが嬉しかった。
だって考えたら、あんなにキラキラした可愛らしい付箋なんて持っていたくないはずだから……
2度目に会って、隣に座るお兄さんが、ノンフレームの眼鏡で黒髪の人だっていうことに気がついた。
時計を見ると14時45分。
私は慌てて最後の設問に取り掛かった――――――
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