少しだけ、特別。

2/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
あたしは、ひとりで生きていた。 別に、苦だと感じたことはなかった。もともと、ひとを信じたくとも、愛したくとも、実際にはそれができない性分だったから。 裏切られて、傷付いたり不快な思いをさせてしまうよりはずっとマシ。 家族も友達も恋人もいらないし、臆病だから、出来る限りひとと関わりたくなんかない。 結婚もしなくていいし子供もいらない。 きっと、これから先も永遠に、他人を拒み続けて生きてゆく。 そう、確信をもって、日々をただ過ごしていた。 あたしの眼には、冷たい静寂の世界しか映らなくて。 ………死ぬまで、ずっと、孤独だ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!