白い彼岸花

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   『白い彼岸花』 情熱はとうに 消えた 残ったのは 灰のような白さ 見つけないでください わたしを それでも 未練のように 咲いてしまう この世の秋に あなたは 生きてさえ いないひと 天上に咲けるなら 赤を携えてゆくものを 記憶を奪いながら 時はすぎ もうその色さえ なくした 大丈夫 つらいのは 今だけ さようなら 左様なら あなたが 左様に 仰せなら 望むとおりに 致しましょう 赤い絆なら またいつかを 白い絆なら 心あてに あなたが好きです 告白よりも白く 消えない思い 携えてゆこう 赤く 情熱だけを 捨て去りながら
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