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10分少々の満員電車の旅から解放された私は、多分涙目だったと思う。
次に乗り換える電車のホームまで歩きながら、私は溢れそうになる涙をこらえるのに必死だった。
その涙は、紛れもない、悔し涙。
そう、私は結局、作戦に失敗したのだ。
アイツの手が私の腿裏に触れた時、私は左手でアイツの手を払った。
青白い手に合う、冷たい手だった。
手袋……電車の中でもはめておけばよかったな、と私は思う。
直にアイツの手に触れてしまった事で、私は朝から最悪な気分になっていた。
学校に着いても、その嫌な気分は晴れない。
「きゃ、リンちゃん今日スカート短~い!なんか萌えるわぁ」
友達のジョークにも、微笑すら出来なかった。寧ろ、逆。
「…好きで短くしたんじゃない」
「………えっ?」
「何でも。……ごめん、今日ウチ変だわ、1日放置しちゃって!」
当然だけど色々納得のいっていない様子の友達を放って、私は立ち去る。
八つ当たりってやつかもしれない。
でも今日の私の怒りは、アイツだけに向けたものではない。
親に啖呵を切ってまで実行し、よもや失敗するなどとは思っていなかった作戦を立てた自分自身にも、それは向けられていた。
情けない
情けない
情けない
抜け出せない
頼る人もいない
自分でどうにかするだけの勇気が、私には必要だった。
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