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電車は定刻通りに、駅へやってきた。
アイツがいる電車の次に乗り換える電車である。
その電車はいつも程よく空いていて、座席は全て埋まるも立っている人は一両に4、5人しかいない。始発駅から乗る私は、余程の事が無い限り座る事が出来る。
私は、いつもと同じ様に空いている席に腰を下ろした。右隣には40歳過ぎ位のサラリーマン。左隣には、まだ誰もいない。
努めてキッチリ閉じた膝の上にスクールバックを乗せ、更にその上に伸ばした手を置く。ウォークマンを左手に持ち、準備完了。
学校の最寄り駅迄、黙って寝るだけだ。
20分、黙って寝るだけだ。
しかし今日、私はそれが出来なかった。
アイツが、遂にこの電車にまで乗ってきたからである。
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