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 その後も私は、アイツの行動を直接咎める事なく、微々たる抗戦をしていた。  私の抵抗と同じ位みみっちい攻撃を仕掛けてくるアイツはいつまで経っても挙動不審で、私は寧ろ可笑しく思う様になっていた。  そしてすぐ、そんなアイツにほぼ無抵抗な自分自身に嫌気がさすのである。  けれど私は恐れていた。  アイツにではない。  正しくあるべき人間の、歪みきった素顔を見せつけられた「あの日」…  私は「あの日」から他人を信用するという感情を無くしてしまったのだと思う。  「あの日」の、あの警察官のせいで。
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