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私は、相変わらず駅員室の椅子に座っていた。
何やら書類を繰るのに忙しそうな駅員さんと初老の警官に合流した婦人警官が、ちょっと待っててと言ったからである。
電車を降りてからずっと外に待機させられていたアイツは、3分程前、あの厳つい格好の警官が警察署へ連れて行った。
――「捕まえてくれて、ありがとうね」
厳つい格好の警官は帰り際、私にそう言った。
「悪い事をした奴に罰が下るのは当然の事だからさ……橘さんが勇気を出して行動してくれたおかげです」
ヘルメットに包まれた顔が、綻ぶ。
格好とは対照的に無邪気な笑顔。
彼が発する安心感に、私は又泣きそうになる。
「ありがとうございました」
それだけ言うのが、やっとだった。
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