Morning War

ー１ー

　初めは、偶然だと思ってた。

　私の身長とスカート丈では、丁度成人男性が手を下ろした位の所にスカートの裾が来る。

　だから手や鞄が当たるのなんて日常茶飯事で、満員電車故に…嫌だけどまあ仕方ないと思う事にしていた。

　でも…いつからだろう、
　太ももの裏に微かな違和感を感じる様になったのは。

　偶然にしては余りに意識的に動く指の感触を、私は時々捉えた。

　時々、といっても決まってる。

　火曜日
　木曜日
　金曜日

　私はこの曜日を割り出すのに1ヶ月近くもを要してしまった。
　それ位あいつの手口は慎重で、狡かった。

　違和感を感じた私が、半歩ずれる。
　すると指は瞬時に気配を消し……
　そして又次の駅に着く頃やって来る。

　人と人の間に挟まれ動けない私が、左手で指を振り払う。
　すると指は慌てた様に引っ込み……
そして私が左手を戻すと同時にやって来る。