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後ろに目が付いていないのが悔しかった。
余りに人が多く、「あいつ」が果たして誰なのか実際私には判別不能だったから。
いっそのこと身長が190cm位迄あれば良かった。
人々の頭上から周囲を窺うには、私の身長でも足りなかったから。
ところで私の近くにも、女子高生はいた。
短いスカート丈にフルメイクの顔、ディズニーキャラクターのぬいぐるみが幾つもついた小さなリュック、首から下げられた、使い込んだ携帯電話。
「今時の女子高生」の、王道。
彼女も又、被害に遭っているのではないか…そう私は考えた。
私は自らのスカートの裾を左手で押さえつつ、彼女の事を見始めた。
これであいつが彼女にも手を出しているのならば、私は確実に犯人を見つけられるはずだった。
しかし、結局彼女が被害に遭っている様子は見受けられなかった。
制服マニア――私はあいつをそのクチだと読んでいたが、違うらしい。
就活生のスーツにしか見えない私の学校の制服より、彼女の王道をゆくそれの方が確実に可愛かったから。
何なのだろう……
私があいつに目をつけられたのは
何が原因なのだろう……
相変わらず正体不明なあいつからの執拗な攻撃を水際で何とか防ぎながら考え、またしても半月程が過ぎてしまった。
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