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 その間私は、あいつかもしれない人物を4人に迄絞る事に成功した。  立ち位置、電車に乗ってくる曜日、身長、乗降駅から4人を挙げるのは、中々大変な作業だった。  何しろ私は殆どの乗客に背中を向ける様に立ってしまっているのだ。  慎重に調べた結果、怪しいのは次の4人である事が判った。  ・鞄を斜め掛けし、左手で文庫本を広げて持つ50歳代のサラリーマンA  ・グレーと黒のスーツを交互に着てくる眼鏡のサラリーマンB  ・黒いリュックを背負い、度の強そうな眼鏡を掛けた私服の男性C  ・吊り広告に頭がつく程背が高く、原色を基調とした私服の男性D  間違いなく、この内の誰かなのだ。  早く正体を知りたい。  けれど知った所でどうするのだろう。  私の家から学校迄は遠く、この後に乗り換える電車の乗り継ぎも考えると私にはこの時間の電車しかないのである。  乗る電車を変える事など、出来ない。  やはり早くあいつの正体を突き止めて、どうにかするしかないだろう。  デモ  ドウニカッテ  ドウスレバイイノ……?  後ろから伸びてきた手を振り払い、手の方向を睨みつける。  目が合ったのは、身長の低い中年女性だった。どこか不満そうに見返してくる。 そういえば今日は水曜日だった。  今日はあいつに怯えなくて済む日なのだ。  私は肩の力を抜き、再び女性に背を向ける。  ねぇおばちゃん……  私、悪気があった訳じゃないの  ごめんなさい…  でも…でも貴女はきっと  私が目の前で痴漢に遭ってても  助けては下さらないでしょう……?  だってそうだもの  こんなに人がいるのに  誰も気付いてくれない……  誰も助けてなんかくれないもの……  ……誰カ、助ケテ…………
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