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「俺はともかく
りん気付くの遅すぎ…」
『だって』
私は改めて梓の顔を見て言った。
『梓美人すぎて、分かんなかったんだもん』
「………………
美人て俺男…」
『知ってるから』
梓…
中身は全然変わってないね
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「八年ぶりだよねー梓君」
「どうもお久しぶりです冴華さん」
梓は、礼儀正しくペコリと頭を下げた。
冴華の心の中↓
(うわー…変わってないね)
だと思う(笑)
「それにしても、すっごいかっこよくなったねー」
「冴華さんも」
この時の冴華の心の声↓
(私、かっこよくなったの…?💧)
だと思う(笑)
「おいっ」
ふと声がして、冴華と私は振り返る。
幼なじみのお坊ちゃま、西園寺京介こと京ちゃんがいた。
「出たよバカ」
「…相変わらず失礼な奴だな」
「Qちゃん、久しぶりです」
「誰だよソレ」
あれっ、そういえば…
『京ちゃん、部活は?』
私の質問を京ちゃんは
「今日はねーよ」
と、さらりと流し梓の方に近づいてきた。
梓の肩に腕を回し、からかいの言葉をかける。
「それより梓、お前今だに女みてーな顔してんのな」
『ちょっと京ちゃん…💦』「それはどーも」
梓は普通の顔でそう呟いた。
かと思うと、京ちゃんの顎を右手で掴み、顔を近づけて言った。
「この顔に惚れないで下さいね?」
出たよ梓の必殺技。
その名も、小悪魔スマイル。京ちゃんに100の大ダメージ。
「なっ……」
顔を真っ赤にして後退る京ちゃん。
あ~なんかこの光景すっごい久しぶりだな~…
「だっ誰が惚れるかよっテメーなんかにっ…この俺様がっ」
『…梓…京ちゃんめちゃくちゃ吠えてるよ』
「あの人、からかうと面白いから」
何その企み顔💧
『はぁ…全くもう、梓は』ゴンッッ
『って、梓ーーーー!!💦』
電柱にぶつかるってどうゆうことだよ…
『そういえばメガネは!?』
「さっき落とした」
また!?
てゆうかいつの間に落とした!?
「あれ?梓君、目悪くなったんだ?」
冴華が梓に尋ねる。
「はい」
冴華の動きが、止まった気がした。
冴華の視線は、梓の手首に注がれている。
「梓君……その腕……」
冴華のその声に反応して、梓は隠すようにとっさに左手首を右手で掴んだ。
「………」
『……梓…?』
この時、私はまだ何も知らなかったんだ。
梓のことを、何にも…。
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