最後の記憶

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気がつくと焼け野原になった街に、一人たたずんでいた。 そこは、つい先日まで活気で溢れていたのであろう。焼け残った果実がまだ青々と転がっている。 顔を上げると、元は壮大なものだったのであろう。巨大な城跡が残っていた。 ───なぜ、こんなことになったのだろう─── 彼は、ただそれだけを自分に訴えかけた。 彼は自分が引き起こした事の重大さに葛藤し、苦悩した。 彼の頬に一粒の雫が流れ落ちた。 彼は再び顔を上げた。 もっと上、もっと上。 暗雲の切れ間から覗いた、天からの光を仰いだ。 彼は願った。 何故、自分はこんな生き方をしなければいけないのか。 ───願わくば、───として─── 暗雲はどこか消え去り 空が大きく輝いた。 その光は 美しくて 暖かくて 優しくて
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