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入学式直後、俺、沢田颯太は担任を持った教室に行くまで、高校の時の後輩であり同士の西田圭(にしだけい)と話していた。
「それにしても先輩、あの子可愛かったっすねー」
西田は頬を染めながら、夢心地で話しかけてくる。
「誰がだ?」
「誰って、今崎未来ですよ今崎未来っ。あの言動、可愛すぎですよー」
今崎未来は新入生代表の挨拶のとき、『皆さんは高校生になったら恋したいとか思ってここに来たのかも知れませんが、私は誰よりも一生懸命勉強するためにここに来ました』
と、発言したのだ。
(確かに、きゃあきゃあ言う女よりは可愛く思えたな……)
女は嫌いじゃない。昔から、出会いは多い方だったから、特に困ったこともない。
でも、別れ際とかは凄く面倒だ。また会える?だの、好きだよ、だの……正直ウザい。
「先輩ー。聞いてますー?あ、またどうせエロいこと考えてたでしょー?この、エロ教師~」
西田はニヤニヤする。
「ちげーよ。つか、エロ教師言うな。それ言われるの嫌いなんだよ」
俺はしかめっつらをする。
「分かってますって。エロいはいいけど、エロ教師は嫌なんですよねー?」
「わかってんなら言うな」
俺は更に、しかめっつらをした。
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