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「ちょっと待て」
逃げようとするタカの学帽をリンが奪った。
「返せ!」
「理由は何となく分かった。話してみて」
「……し、知らん」
「正直に答えないなら返さないよ。さぁ、答えろ」
リン、強い……
「……誕生日」
物凄く小さい声で呟いた後、誰も責めてないのにタカは吐き捨てるように言った。
「コウイチ今日誕生日やろ!」
今日なんだ。へぇ、意外……
「って! イチぃ?!」
「あぁ」
「……負けた」
「何も争ってない」
思わず言った一言にリンに突っ込まれた。
だってさ、あいつの方が早く生まれたなんて微妙じゃん。1日違いなんて最悪……
「いいじゃん。ケーキ買って来い」
「あいつを祝う筋合いなんかない……!」
意地っ張りだなぁ。
「タカ、行くよ」
半ば無理矢理タカを引っ張ってケーキ屋に入る。
「おい、セレン!」
「バースデーケーキ下さい!」
アワアワしてるタカを小突いて無理矢理購入させる。
「無事買えてよかったねー」
「……別に。頼んでへんのに」
「おい」
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