汚れきった出会い

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  「面白い。その話、乗ろうじゃないか」 俺の答えに、女はクスリと笑った。 「ありがとう、期待していた通りの答えよ」 そう言って、女が口角を吊り上げる。 「あなたはやはり、まだプライドを失ってはいない。こんな状況なのに、私と対等の目線でいられることがその証拠よ。大丈夫、あなたならまた這い上がれるわ。それどころか、更に更に上を目指すことができる。私が保証するわ」 「あんたに保証されなくても、やってやるさ」 俺は札束を拾い上げ、立ち上がる。 そして、先ほどまで施しを貯めていたクッキー缶を蹴飛ばす。 もうあんな奴らの施しなんかに頼らない。 「さて、じゃあ二人の出会いを祝って自己紹介でも……」 「いや、名乗るのはあんただけでいい。知ってるんだろ? 俺のことは」 俺の言葉を受けて、女が愉快そうに笑った。 「やっぱり面白い人ね、あなたは。私の名前は荒木響子。じゃ、行きましょう? 青池明さん」 全く、どっちが面白い奴なんだか。 俺はこぼれ出る笑みを隠すことなく、響子と共にこの欲望の街を後にした。
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