結構余裕そうですが、主人公遅刻してます。

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命名した所で、これから呼ぶ機会なんぞないだろうし、作りたくもないが。 他人様のあんパンを強奪するような非常識ではないにしろ、明らかにこいつは普通じゃない気がする。 少なくとも、朝っぱらからゴミ箱に上半身を突っ込む人は須く普通ではないからである。これは自信を持って言える。 「ありがとう」 ニコリともせずにあんパンを返してくる。零れる苦笑と共に受け取る。形式的な礼だなおい。 「どーいたしまして、それじゃ」 考えてみれば、自分は今遅刻しているのだ。こんな鉄仮面なんかを相手にしている場合じゃない。 「待って」 断る。 「待ってよ」 だが断る。 「待ってってば」 しかし断る。 「ねぇ」 無視無sグェ!? 後ろから襟を引っ張られ、蛙の断末魔みたいな声が出る。咳き込む。涙がでる。 「何しよっとねぇ!?」 振り返り、涙目ながら強く言い放つ。
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