結構余裕そうですが、主人公遅刻してます。

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チラリと脇の隙間から外界を覗き見る。 「…………」 なんかいる。 自分の席の真横に立ち尽くすスカート丈膝上10cmが見えた。スリムでいて、それでも細過ぎず、程良い肉付きをしている。 状況から察するに、間違いなく奴だろう。周囲のざわめきはさっさと席に着かずに、案山子の如く突っ立っているこいつのせいだな。 ……つーか、これ絶対バレてるよね。いや、このまま亀ってればいけなくもないか? 「おい、そこのお前!」 教壇の上から聞こえる。うるさい、自分は寝ているのだ、アーキコエナイー。 「そこはお前の席じゃないぞ!」 ……ん? いや、自分じゃないよな? 「聞・い・て・い・る・の・か?」 旋毛周辺をペチペチ叩かれる。やめろぉ!円形脱毛症とかマジ勘弁! たまらず顔を上げる。 クラス中の視線が突き刺さる。ちょ!何で!? 「なんだ出木じゃないか。お前クラス間違えてるぞ?ここは3組でお前は2組」 ななな何ですとぉ!? 「し、しかし、この席が自分を呼んでいてですね」 「んなもん知らん。ほらとっとと行け」 「くぅ!」 何たる公開処刑!新学期早々ドジっこアピールしてどうするんだ!自分のキャラは強面クールの兄貴分と決めていたのに!
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