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「と、いうことで……」
たかこちゃんの声。
「朝倉さんは英語も出来るので、奏の調整に飛んでもらうことにもなる。遥は家が落ち着いたら、恐らく月末には上京して来るだろう」
「そっか……すごいな」
演るのは分かっていた。
演らなきゃならない。
派手にぶちあげて、あいつに見せてやらないとな。
私は視線を、たかこちゃんに降ろした。
「箱は?」
首が横に振られる。
「まだだ。何処を押さえられるか分からんが3公演。首都圏、関西、そして札幌でどうだ?」
「いいな。私は何をすればいい?」
たかこちゃんが、視線を逸らした。
「おまえは……弓裏真矢であればいい。それが全てだ」
決起の乾杯の音が部屋に響いた。
「うぉい待て。どさくさ紛れに醤油を注ぐな」
「せっかく買ったんだ。飲んどけ」
「あははは」
「コラ! おまえが飲め。うわぁー、笑ってないで助けろ!」
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