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しょうがないな。
タクシーを呼ぶには近すぎる。
歩いて行くつもりだったが、遅刻とあっては誠意を見せよう。
ジーンズ、ダウンジャケット、ブーツ、サングラス。そしてヘルメット。
変装と言うより防寒対策により完全武装とする。
私は愛車ドゥカティに跨った。
イタリア製でカッコイイ。
昔、クイズ番組にゲスト出演した時の景品だ。あー、そうだよブービー賞さ。
滅多に乗らないので機嫌が悪いようだが、私は颯爽と風を切り裂き、フル・スピードで通りを駆け抜ける。
『寒うー』
目的地だけど、たかこちゃんと私の間で《事務所》と、言えば、たかこちゃんの住んでいる部屋を指す。
他のビルに表向きの事務所も借りているけど《物置》と、言わないと通じない。
衣装とか、普段使わない楽器とか……食器とかを置いてあるんだ。
などと説明していたら、アッという間に着いてしまった。
さすがに自転車は速い。
……ん?
バイク?
乗れる訳ないだろう?
自転車も売っているんだよ。
たかこちゃんはプギャーの持ってるよ。
(注)プジョーの誤り
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