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7階の事務所に肩で息をしながら(演技)入って行くと、朝倉さんが来ていて、リビングの椅子で真剣に資料を読んでいる。
「ごめん。道が混んでて」
誠意に満ちた謝罪に対し、顔を上げた朝倉さんの焦点深度が、やや遠い気がしなくもない。
……
後ろかっ!?
バゴン!
お、遅かったか……
「頭、悪くなったら、どーする!」
「頭はもう諦めて、他を伸ばせ。これをやる」
私の頭をぶっ叩いた書類の束は、被害者の手へと移動した。
「何だこれ」
「ヴォイスと筋トレの手続書類。全て済ませてある」
『ひぃぃぃぃ』
「いいな、寝過ごすなよ」
「……はい」
たかこちゃんは頷くと、落ち着かなく歩き回りながら、現在の状況を説明し始めた。
いつもドッシリ構えるのに、興奮気味なのだろう。
無理もないよな。
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