688人が本棚に入れています
本棚に追加
/554ページ
「向こうはどんな感じ?」
問われて朝倉は、用意した答えを口にした。
「嵩子さんは超忙しいです。遥さんとは半日しか……」
「2人とは時々話す。真矢は?」
やはり両者の間には何か有るのだろうか。そんな記事を見た記憶も、有ると言えば有るが。
「頑張ってますよ。毎日トレーニングに励んでいます。ヴォイスと体力の両方」
「そっかー」
意を決して。と、言うほどでもなく、壁の低そうな奏の調子を頼みに、朝倉はサラッと質問をぶつけてみた。
「真矢さんとは、何かあったんですか?」
リアクションは真顔でのリピート。
「真矢と何か?」
すぐに意味を悟り、慌てて手を振り始める。
「ないない……ほら、あいつの部屋、ネット環境ないから。2人とはウェブ・カメラだし」
『なるほど』
嘘でもないだろうが少し引っ掛かる。
理由として妥当なので、疎遠のイイワケにしているように思えるのは、勘ぐり過ぎだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!