旋律は春雷の如し

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パチクリ。 翌朝、ベッドの中で目を開いた私は、或ることに気が付いた。 違う。或ることに思い当たり、それで目が覚めたんだ。 なんで昨日、それくらいのこと分からなかったんだろう。 モゾッと寝返りを打ち、時計を確認する。 アラームが鳴る2分前。 たかこちゃん。遥も。 徹夜で練習している。 「お互い酷いな。どんだけ錆付いたんだ?」 奏に渡す音を録るため、合流ホヤホヤの遥と試みたセッション。 たかこちゃんは笑いながら、遥に肘を入れていた。 楽器をぶら提げた2人の姿。私はそれだけでも嬉しくて、深く考えなかったんだ。 まだ時間はある。 慌てることない。って。
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