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たかこちゃんのクルマは、スタジオ近くの立体駐車場に置かれていた。
汚いってほどでもないけど、黒いボディが幸い(災いか?)して、仲間外れにされた報復が成される。
【ばーか ばーか】
反対側のドアにも書いてやろう。
と、思ったが朝倉さんに手を引かれ、リベンジ・ミッションは中断した。
「よく見たら、ナンバー違います」
「なんだと?」
「このポルシェ、嵩子さんのじゃないです」
……
あー、逃げたさ。
読者の中に思い当たる人が居たら、それは私のサインだ。大事にしてくれても良いが、正直すまなかった。
道中で買い物を済ませ、従業員出入口から貸しスタジオへ。
バンド時代から馴染みのスタジオなので、そういう待遇になっている。
事務室の窓越しに私達を確認し、おっちゃん(社長)が奥の部屋を指差した。
【使用中】のライトが灯ったドア。
ほーら。
思ったとーりの展開。
あいつらに口で勝つには、最初の威勢が肝心。
私は勢いよくドアを開け放った。
「ばああーーーーん!」
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