そのロックバンド堕天使

旋律は春雷の如し

堕天使が食事休憩に突入したのを横目に、朝倉はノート・パソコンを中核に据えたユニットを確認し始めた。

営業部門だったとは言え、この手のハードウェアも触ったことくらいは有る。

2台持ち込んだ片方が、ドラムを担当。

過去の演奏から、雅のドラムを抜き出したモノ。

堕天使の過去曲が約30曲。

それに洋楽のカヴァーやアレンジが20曲ほどと、今回創った新曲プレイが1曲有る。

この中からライヴで演る曲目を選び、練習することになるであろう。

もう1台には、今回入手した奏の演奏が取り込んである。

「音、出しますよ」

そう言って朝倉は、今回の奏データーを流し始めた。

床に座り、膝を抱えた真矢は、目を閉じた。