旋律は春雷の如し

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6分30秒の通しプレイが終了して一言。 「もう1回」 朝倉は黙ってリピート操作をする。 ………… 「もう1回」 結局、真矢は5度聴いた。 途中、興奮に赤く染まった顔色は、試聴を終える頃には逆に白くなった。 「あいつは……」 どう表現するのか、朝倉も興味津々で待ち構えたが、真矢は語尾を飲み込み、勢いよく立ち上がる。 「よし! 演るか」 傍らのベースに手を伸ばしながら、嵩子が時計を確認した。 「リリース音源は明日、横浜のレコーディング・スタジオで録る。これ以上ひっぱれない」
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