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丁度良い水入りでTAKAKOの頭も上がり、給仕が出て行ったことを確認した朝倉は口を開く。
「もういいですよ。ソレは。辞めない方法が無かった訳でもないですから。最終的に自分で決めたんで」
TAKAKOは首を傾げた。
それはそうだ。社外から調べて、詳細までは分からないだろう。
「えーとですね」
頭を掻いて笑うしかない。
「某タレントが実際にセクハラしたんです。そこの事務所との関係があって、痴漢までひっくるめて俺が被れ。と、上司に言われましてね」
「……」
「拒否したら社内で面倒なことに。結局は俺がやったと根回しされて……そいつブットバシテ辞めました。大人気ないでしょ」
途中から『マズイなぁ』と、思いながらも、いろいろ貯まっていたのか、動き始めた口は止まらなかった。
就職関係の話なら、もう少しメッキするべきだが地が出たようだ。反応は如何に?
TAKAKOは親指を立て微妙に笑った。
「そうですか。とにかく原因はコチラなので……そうでしたか」
コーヒーカップに指を掛けたが『たぶん飲まないな』と、朝倉が予想した通り、話を切り替える小道具を持った手は宙で止まった。
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