7人が本棚に入れています
本棚に追加
「波風を殺してその千両、奪ってやる…。」
「なんだか外が騒がしんすな…華火、外を見てきておくれ。」
「はい。花魁。」
ガラッと襖を開けるとそこには利之介がいた。
「おうおう。ちびすけ少し退いてくんねぇか?」
(く、曲者!!)
華火はいつも持ち歩いている小刀を取り出し利之介に向けた。
冷や汗が垂れ、生唾が喉を通りゴクッと音がした。
けど華火は威勢よく言い放った。
「怪しき者!!ここより先は波風花魁の部屋でしんす!
何の用でござりんすか!?」
「…………………ふっ…
威勢の良い娘子じゃねぇか…
こんな奴を花魁につけてんか…」
利之介は背の小さい華火を見下げながら鼻で笑った。
すると「おめぇ…年は幾つでぃ?」ときいた。
答えない理由はない。
「9つでござりんす!」
けれど答えてしまったのが間違いだった。
小刀を持つ手には手汗が尋常なほどでている。
ぎゅっともう一度小刀を握り締めた。
.
最初のコメントを投稿しよう!