第一章

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「波風を殺してその千両、奪ってやる…。」 「なんだか外が騒がしんすな…華火、外を見てきておくれ。」 「はい。花魁。」 ガラッと襖を開けるとそこには利之介がいた。 「おうおう。ちびすけ少し退いてくんねぇか?」 (く、曲者!!) 華火はいつも持ち歩いている小刀を取り出し利之介に向けた。 冷や汗が垂れ、生唾が喉を通りゴクッと音がした。 けど華火は威勢よく言い放った。 「怪しき者!!ここより先は波風花魁の部屋でしんす! 何の用でござりんすか!?」 「…………………ふっ… 威勢の良い娘子じゃねぇか… こんな奴を花魁につけてんか…」 利之介は背の小さい華火を見下げながら鼻で笑った。 すると「おめぇ…年は幾つでぃ?」ときいた。 答えない理由はない。 「9つでござりんす!」 けれど答えてしまったのが間違いだった。 小刀を持つ手には手汗が尋常なほどでている。 ぎゅっともう一度小刀を握り締めた。 .
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