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そろそろいいだろうか、と離れようとすれば、腕を捕まれる。
「どうして?」
声の事か、と喉を示すと、頷かれた。
手を離してもらい、書く。
『わからない。わかりたくもないけど。もういっていい? かいものしたい』
それを読んだ相手は、
「ご、めん。引き止めて」
難しい顔をして、俯いた。
なんだか後味が悪い。
相手の目の前にメモを差し出した。
「れ、んらくさ、き?」
書け、とペンも突き付ければ、怖ず怖ずと受け取り、携帯電話のアドレスと電話番号、住所と名前を書いて返してきた。
そのページだけ破り、仕舞う。
「また会える?」
『わからない。しょうじき、あいたくない』
メモに書かれた文字を見て、相手は泣きそうな顔をする。
それを見ていたくなくて、さようならの意味を込めて頭を下げて踵を返し、その場を離れた。
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