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愛憎。
高校三年の一学期、友人から、親が再婚する、とぼそりと報告された。
連れ子どうしの再婚。
相手の方には、二つ下の息子がいるという。
弟が出来るのは嬉しい、と笑む。
紹介してよ、と冗談混じりに言えば、今度な、と笑う。
その報告から一月。
遊びに来い、という誘いに、喜喜として従った。
玄関には、きちんと揃えて置かれたローファー。
通されたリビングには、黒髪の男の子。
この子が彼の弟か、と会釈し笑みを向ければ、弟くんはいらっしゃい、ごゆっくり、と頭を下げる。
気になったのは、弟くんの白い肌に見える、赤黒い痣。
それをつけたのが誰かなんて、その時のぼくには想像も出来なかった。
あの現場に遭遇するまで。
愛憎。
弟が憎いと嘯く、それは執着からくる感情なのだと、彼は気付いていない。
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