義兄の友人(1)

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 愛憎。  高校三年の一学期、友人から、親が再婚する、とぼそりと報告された。  連れ子どうしの再婚。  相手の方には、二つ下の息子がいるという。  弟が出来るのは嬉しい、と笑む。  紹介してよ、と冗談混じりに言えば、今度な、と笑う。  その報告から一月。  遊びに来い、という誘いに、喜喜として従った。  玄関には、きちんと揃えて置かれたローファー。  通されたリビングには、黒髪の男の子。  この子が彼の弟か、と会釈し笑みを向ければ、弟くんはいらっしゃい、ごゆっくり、と頭を下げる。  気になったのは、弟くんの白い肌に見える、赤黒い痣。  それをつけたのが誰かなんて、その時のぼくには想像も出来なかった。  あの現場に遭遇するまで。  愛憎。  弟が憎いと嘯く、それは執着からくる感情なのだと、彼は気付いていない。
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