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弟くんは、本当に姿を消してしまった。
断崖に、靴と遺書を遺して……
そこは有名な自殺の名所。
そこから身を投じれば、十中八九遺体は上がらない場所。
警察は、三日で捜索を打ち切った。
誰も、悲しまなかった。
彼の義母も、彼の実父も。
まるで他人事のように、興味なさげだった。
生きていれば、いつかは帰ってくるでしょう、と。
彼もまた、見つけたらただじゃおかない、と拳をかためる。
生きている事が前提の、その台詞。
それは生きていて欲しいと言う希望?
それとも……
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