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「カイがまともなメシ食ってるとこ、久し振りに見た」
どん、とテーブルに重たそうな鞄を置き、仕事仲間でもある友人が私の向かい側に座る。
「ひじりさんが死んで、無理矢理にでも食わせなきゃ何も口にしなかった奴が、どんな心境の変化だ」
「いろいろとあってね」
テーブルには食パンと目玉焼き、甘めのカフェオレ。
目玉焼きの横には、ボイルされたウインナが二本。
食器同士がぶつかる音に、目がそちらへ向いた。
フルーツが盛られた小皿を手にした少年が、首を傾げている。
『だれ? かいようさんのしりあい?』
皿をテーブルに置いて、首から提げているメモ用紙に素早く文字を書くと、私に見せた。
「そうだよ。彼は秋山 葵(あきやま あおい)、仕事仲間で、高校の時分からの友人でもあるんだ」
紹介すると、少年は友人に会釈する。
すぐに私の方へ向き直り、またメモ用紙に書きなぐった。
『おきゃくさんに、こーひーいれてくる』
「うん、お願い」
少年は微笑んで、キッチンの方へと消える。
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