少年A(2)

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 仕事に向かう海陽さんと、彼の友人だという秋山さんを見送って、食事の後片付けや洗濯、掃除を順に済ませた。  渡されたお金をポケットに収め、自分も出掛ける準備をする。  鍵をかけ、指差し確認。 (昼は食パン残ってるし、サンドイッチにして……夜はご飯解凍して炒飯でいいか)  昼と夜の、自分だけの献立を脳内で描いて、頷く。  驚いたことに、オレは料理が得意らしい。  海陽さんは、記憶を失う前のオレが料理上手で、頭ではなく体がその感覚を覚えているんだろう、と言った。  医学には明るくないが、海陽さんが言えば、なるほど、そういうこともあるのかもしれない、と納得してしまう。  いろいろ考えているうちに、目的地に到着。  徒歩圏内にある大型のスーパー。  カゴを手に、店内を物色する。  時間が早いためか、人は疎らだ。  一日置きに通っているから、顔なじみのおばちゃん店員さんなんかも出来て、その人が声をかけてくる。
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