少年A(3)

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 そろそろいいだろうか、と離れようとすれば、腕を捕まれる。 「どうして?」  声の事か、と喉を示すと、頷かれた。  手を離してもらい、書く。 『わからない。わかりたくもないけど。もういっていい? かいものしたい』  それを読んだ相手は、 「ご、めん。引き止めて」  難しい顔をして、俯いた。  なんだか後味が悪い。  相手の目の前にメモを差し出した。 「れ、んらくさ、き?」  書け、とペンも突き付ければ、怖ず怖ずと受け取り、携帯電話のアドレスと電話番号、住所と名前を書いて返してきた。  そのページだけ破り、仕舞う。 「また会える?」 『わからない。しょうじき、あいたくない』  メモに書かれた文字を見て、相手は泣きそうな顔をする。  それを見ていたくなくて、さようならの意味を込めて頭を下げて踵を返し、その場を離れた。
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