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遺書には、あいつへの遺恨だけ。
再婚して、息子に構わなくなった母にも、血の繋がっていない義父にも、遺す言葉なんてない。
眉目も、外面も成績もいい、オレに対してだけ暴力的な義兄が居れば、なんの取り柄もないオレなんて、要らないでしょう?
きっと悲しむ人なんて居ない。
なんの未練もありはしない。
断崖絶壁、下は荒れ狂う海。
うまくいけば、魚の餌くらいにはなれるかな。
靴で遺書を抑えて、笑う。
「バイバイ」
助走をつけて、海へと飛び出した。
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