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砂浜で倒れている人間を見つけて、妻が私のもとに帰ってきたんじゃないかと思った。
すぐに違うと知れたのは、それが若い男の子だったからだ。
体中に傷を負っていた。
真っ白な顔色に、呼吸は辛うじてあった。
他に人は居ない。
濡れるのも構わず、彼を波打際から引き出して、軽く頬を叩く。
呻いたかと思うと、目を少しだけ開けて呟く。
「しにたくない」
それだけ言って、彼はまた目を閉じた。
私は彼のその一言で、彼を抱えて家へ連れ帰った。
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