ーRedー

9/19
前へ
/53ページ
次へ
「やっと来た!大深!!」 「うわぁ!大ちゃん、久しぶり~!」 ヤンヤと歓声が湧く。 「おくれた?ごめん…」 あの頃より低くなった、けれど。 変わらない柔らかさを持った声が、耳に届く。 「いーよいーよ、座れって!」 幹事に促されて、テーブルを挟んだ向かいに座った貴方。 グラスを持たされて、ビールを注がれて。 昔から小柄な貴方は、両隣から肩を抱かれて。 ああ、上着くらい脱がせてあげてよ…。 だけど貴方はされるがままに、フンワリ微笑んで楽しそうにしてる。 そんなところも、変わらないね。 でも…。 「はーい、じゃあ皆グラス持ってー!!カンパ―イ!!」 幹事の音頭に合わせて、グラスを鳴らしながら。 チラリと貴方を盗み見る、あの頃と何ら変わんない俺もいて。 一人で、少し、笑った。 .
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加