327人が本棚に入れています
本棚に追加
キスをした日以来、俺は彼を避けるようになった。
恥ずかしくて、勿論気まずさもあって。
それになにより恐ろしかったのだと思う。
親友と…“男とキス”して、それが“気持ち良い”なんて。
訳のわからない性衝動に、支配され飲み込まれてしまいそうな自分が、とても怖かった。
すべて忘れたくて、すべて無かったことにしたくて。
幼い俺はあの人の存在を世界から消そうとした。
別々の高校へ進んで、一切の連絡を断ち。
あの人と離れることで、俺の恐怖は徐々に薄れていった。
それなりの大学へ行って、それなりの会社へ就職して。
俺の何がいいのか知らないけれど、女性には不自由しなくて。
.
最初のコメントを投稿しよう!