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……だけど、時々。
ふっと思い出す。
感触。
熱。
音も。
吐息も。
あの人の、誰より綺麗な唇の形も。
覚えている。
一つだけ、深く刺さった小さな棘みたく。
弄っても血を流しても取れずに、ただそこに在って。
今でもこの胸の奥の奥を静かに、淡く、疼かせる。
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