序章

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ざあざあ。 ざあざあ。 ざあざあ,ざあざあ。 昨日も雨。 今日も雨。 そしてきっと明日だって雨。 その次の日も,その次の次の日も,その次の次の次の日も。雨。 何度も俺を苦しめるかのように,ただその音を頭に染み込ませてくる。 『悠唄<ユウカ>』 やめろ。 『ほら……来いよ,悠唄』 やめろ……。 その声で,俺を呼ぶな。 穢らわしい。 『お前は俺のものだ。……そうだろ? 悠唄』 黙れ。 黙れ黙れ。 消えてくれ,今すぐに。 もう二度と逢いたくなんかない。 『ほら……俺が優しく忠告してる間に来いよ。また××されたいのか?』 行ったってするくせに。 云うことを聞いても×するくせに。 大嫌いだ。 殺してしまいたくなるくらいに,大嫌いだ。 いつか――殺してやる。 .
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